11月6日 きょうは何の日?

きょうは何の日

アパートの日



きょうの本棚

①「古代ローマ人の24時間」 A.アンジェラ 河出書房新社(232:古代ローマ史)

 臨場感たっぷりに再現された古代ローマの驚きの1日。食事、服装、住宅、買い物、学校、公共浴場、闘技場、夜の饗宴など、庶民の暮らしを鮮やかに再現。ローマの集合住宅インスラの記述あり。

②「江戸→TOKYOなりたちの教科書 : 1冊でつかむ東京の都市形成史」岡本哲志 淡交社(518:都市工学)

 江戸(東京)の成熟した都市空間を古地図や写真図版をビジュアル的に復元する。アパートの始まりの記述あり。

③「軍艦島の生活〈1952/1970〉」西山夘三記念すまい・まちづくり文庫 編集 創元社(527:住宅建築)

 日本の住宅学を切り拓いた住宅学者「西山夘三」が、戦後二度にわたり「軍艦島」の住宅と生活を撮影・調査した。そのレポートや資料を編集し、活気ある軍艦島の生活を誌上で再現した。

④「集合住宅物語」 植田実 みすず書房(527:住宅建築)

 著者・植田実が、4年余の歳月をかけ首都圏の主だった集合住宅を訪ね歩いた。

⑤「トキワ荘最後の住人の記録 : 若きマンガ家たちの青春物語」山内ジョージ 東京書籍(726:漫画)

 手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫などの今まで書かれなかったエピソードでおくるトキワ荘青春物語。

⑥「マンガ建築考 : もしマンガ・アニメの建物を本当に建てたら」 森山高至 技術評論社(726:漫画)

 名だたるマンガやアニメに愛をこめて建築エコノミストが挑む。まじめに楽しく力業でマンガ・アニメに登場する建築を考察。集合住宅の章に「めぞん一刻」の舞台である一刻館の記述あり。

⑦「ナラタージュ」 島本理生 角川書店(913:日本文学・小説)

 母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。泉が希望し葉山と共に訪れたのが同潤会アパート。

⑧「大いなる幻影・猟人日記」戸川昌子 講談社(913:日本文学・小説)

 古色蒼然とした五階建て赤レンガのアパート(同潤会が建てた女性専用アパート「大塚女子アパートメントハウス」)は、男子禁制の女の館だった。互いに他人を寄せつけずに暮らす孤独な老嬢たち。そこへ突如アパート移動工事が始まる。工事に呼応して奇怪な事件が続発し、それまで沈潜していた老嬢たちの過去が、むき出しにされた。

⑨「アパートのひとたち」 エイナット・ツァルファティ/作 光村教育図書  (絵本)

 アパートに住む女の子。各界のドアを見て、住人を想像してみる。泥棒一家にサーカス団、吸血鬼など、珍妙な住人の部屋の中は、おもちゃ箱をひっくり返したよう。

きょうは何の日? コラム

「アパートの日」

 1910年のこの日、東京上野池之端に、日本初の木造アパート「上野倶楽部」ができました。洋風の外観を持つ5階建て70室の賃貸アパート。上野公園に隣接しており、洗面所・浴槽・電話は共同で、入浴時には居住者が実費を負担しました。入居者は公官吏、会社員、教師など日本人だけでなくロシア人やフランス人も住んでいました。有名人では詩人の西條八十や政治家の野坂参三も若かりし頃、住んでいたといいます。

「集合住宅」

 日本において集合住宅といえば「長屋」が思い浮かびます。
 現代においてアパートは2階建ての木造の集合住宅をさすようです。3階建て以上の鉄筋コンクリート造の集合住宅はマンションというようですが、完全にそう呼び分けているわけではありません。マンションは海外では豪邸を連想させるので注意しましょう。

「同潤会アパート」

 同潤会アパートとは、関東大震災で木造住宅が火災による甚大の被害を受けたことから、財団法人同潤会によって作られた復興住宅として建てられたものです。このアパートは近代的な鉄筋コンクリート造の耐火アパートで、そのほとんどが電気・都市ガス・水洗式トイレなど当時としては先進的な設備を備えていました。

「大塚女子アパートメントハウス」

 その同潤会が女性専用に昭和5年につくったのが大塚女子アパートメントハウスです。当時としてはモダンできわめて贅沢な作りのアパートでした。エレベーターを備えていたほか、トイレは各階1か所の共同ではあるが水洗式であり、地下には共同浴場とシャワールーム、80人対応の大食堂がありました。独身職業婦人向けのアパートで彼女らのなかでは羨望の的だったようです。
 戦後、このアパートは都営住宅となり入居条件が建設当初とは異なる低所得者向けとなりました。珍しいところでは春日通り拡幅のため、このアパートは曳家工事により4m移動させたそうです。しかも、住人からの要望で居住している状態での曳家となったそうです。20世紀後半には老朽化などのため取り壊しされることになりました。「同潤会の代表的作品の1つで、わが国の集合住宅の歴史を考える上で極めて貴重な遺構」であるとの理由で保存運動がおこりましたが、結局、2003年に取り壊されました。ちなみに、その跡地には図書館の司書さんには、おなじみ「株式会社図書館流通センター」の本社ビルがあります。

「世界最古の賃貸の集合住宅」

 集合住宅は都市の登場とともに誕生したとおもわれます。中でも有名なのが古代ローマの集合住宅インスラでしょう。インスラは賃貸の集合住宅として、おそらく世界最古のものでしょう。高さ8階から9階建て。交通の発達していなかった古代ローマでは都心に近くなければ不便で都市に住む意味がなかったため高層になっていったのです。しかも、オーナーたちは利益を重視してローマ建築の高度な技術や材料が使われず廉価でもろいものだったようです。そのため、度々、火災や倒壊があったので、ときの皇帝が建築の高さを制限する法令をだしたほどです。

それでは、また次回。
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ビブリオ9

司書のビブリオ9です。
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